アトピーの基礎知識

アトピーは遺伝する?不安を解消するための正しい知識と予防のヒント

アトピーは遺伝する?不安を解消するための正しい知識と予防のヒント

はじめに:アトピーと遺伝の関係への不安

「親がアトピーだと子どももなるのかな…」 「実際にはアトピーは遺伝的要素がどれくらい影響するの?」

そんな不安を抱えていませんか?ここで明確にお伝えしたいのは、アトピー性皮膚炎は遺伝だけで決まる病気ではない、ということです。確かに遺伝的な要素は関係していますが、それはあくまで「なりやすさ」を受け継ぐだけであり、必ず発症するわけではありません。

本記事では、遺伝と環境要因の関係を科学的にひもときながら、同じ悩みを持つアトピヨユーザーのリアルな声や、みんなが日常生活で実践している予防・改善のヒントを一緒に見ていきましょう。

アトピーは遺伝するの?まずは基本を知ろう

アトピー性皮膚炎の「遺伝」について考えるとき、多くの方が気になるのは、「実際にどのくらいの確率で子どもに遺伝するのか」という点ではないでしょうか。

研究では、両親のアトピー体質的傾向の有無によって、子どもが発症する可能性に差があることがわかっています。ここでいう「アトピー体質」とは、アトピー性皮膚炎・喘息・鼻炎・花粉症・アレルギー性結膜炎・食物アレルギーなど、アレルギー疾患になりやすい体質的傾向を指します。

日本の大規模出生コホート研究(JECS)では、母親にアトピー体質的傾向がある場合、子どもが1歳までにアトピー性皮膚炎と診断される割合は5.6%であり、母親にそのような傾向がない場合の3.0%と比べて高いことが報告されています(Tsuchida A ら, BMC Pediatrics, 2023)。この差はおよそ2倍に相当し、男女いずれの子どもにも認められましたが、やや男児で高い傾向がみられています。

また、海外の大規模メタ解析(Ravn NH ら, J Allergy Clin Immunol, 2020)でも、父親・母親いずれの影響もほぼ同程度であり、どちらか一方にアトピー性疾患の既往がある場合は約2倍、両親ともにアトピー性皮膚炎を有する場合は約3〜4倍に発症リスクが高まることが示されています。

このように、遺伝的な素因は確かに関係していますが、ここで大切なのは、両親ともにアトピー体質であっても、必ず子どもが発症するわけではないということです。実際の発症には、皮膚の乾燥や環境、生活リズム、スキンケアなどの後天的な要因も大きく関わっています。

そのため、家族にアトピー体質がある場合でも、乳幼児期からの保湿ケアや生活環境の工夫によって、発症や重症化を防げる可能性があります。どうか一人で悩まず、気になることがあれば専門の医師に相談してみてください。

(出典)                                              
Tsuchida A, Itazawa T, Matsumura K, et al. Season of birth and atopic dermatitis in early infancy: results from the Japan Environment and Children’s Study. BMC Pediatr. 2023;23(1):78. 

Ravn NH, Halling AS, Berkowitz AG, et al. How does parental history of atopic disease predict the risk of atopic dermatitis in a child? A systematic review and meta-analysis. J Allergy Clin Immunol. 2020;145(4):1182-1193.

■アトピヨユーザーの体験談

「夫重度アトピー、娘もアトピー体質、一歳の息子も同じ肌質です😭」さきさん(5歳児のご家族・アトピー歴1年)

「産まれてから乳児湿疹、脂漏性湿疹ひどく今10ヶ月ですがアトピーに移行してしまったようです。上の子もアトピーでしたが日本でプロアクティブ療法を受け1歳4ヶ月でステロイドを離脱し、3歳の今もツルツルのままです。」3児のママさん(1歳児のご家族・アトピー歴1年)

「アトピー体質」とは?

よく耳にする「アトピー体質」とは、どのような体質なのでしょうか?「アトピー体質」という言葉は、アトピー性皮膚炎だけでなく、気管支ぜんそくやアレルギー性鼻炎、結膜炎など、さまざまなアレルギー疾患を起こしやすい傾向をもつ体質のことを指します。これは医学的には「アトピー素因」と呼ばれ、次のような特徴があります。

  • 家族や本人に、ぜんそく・鼻炎・結膜炎・アトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患がある
  • 血液検査で、IgE(アイジーイー)抗体と呼ばれるアレルギー反応に関わる物質が作られやすい

ただし、アトピー性皮膚炎の診断において「アレルギーの存在」は必ずしも条件ではありません。皮膚のバリア機能が弱く、刺激や乾燥に反応しやすい体質が関係していることも多いのです。

つまり、アトピー体質には遺伝的な傾向が関係する一方で、生活環境やスキンケア、ストレスなどの影響も大きく、体質だけでは決まりません。みんな同じような不安を抱えていますが、一緒に正しい知識を身につけていきましょう。

家族にアトピー患者がいると、なりやすいというのは本当?

アトピー性皮膚炎の発症には、大きく分けて「遺伝的な要因」と「環境的な要因」の2つが関係しています。

双子を対象とした研究などから、アトピー性皮膚炎の発症には遺伝的要因が60〜80%程度関与していると報告されています。一方で、近年の患者数の増加や生活環境の変化などから、環境要因の重要性も明らかになっています。

つまり、アトピー性皮膚炎は、「アトピー素因(遺伝的にIgE抗体を作りやすい傾向や、家族にアレルギー疾患をもつ体質)」をもつと発症しやすくなります。ただし、アトピー素因があるからといって、必ず発症するわけではありません。また、生活環境や生活習慣、スキンケア、ストレス管理などを整えることで、既に発症している場合も、症状を軽減したり、悪化を防いだりすることが十分に可能です。

アトピヨのアプリでは、アトピーの皮膚症状やケア方法だけでなく、同じ悩みを持つ人の体験談や解決のヒントがたくさん共有されています。ぜひ参考にしてみてください。

アトピー性皮膚炎はどんな遺伝的な要素が関係しているの?

アトピー性皮膚炎の発症には、遺伝的な要因と環境的な要因が複雑に関わっていることがわかっています。少々難しく感じるかもしれませんが、一緒に理解していきましょう。

例えば、フィラグリン遺伝子に変異がある場合、皮膚の角層の「バリア機能」が低下し、乾燥や外部刺激、アレルゲン(刺激となる物質)に敏感になりやすいことが知られています。その結果として、アトピー性皮膚炎を発症しやすくなる傾向があります。

ただし、フィラグリン遺伝子の変異を持っていても、必ず発症するわけではありません。また、日ごろのスキンケアを丁寧に行い、乾燥を防ぎ、アレルゲン(刺激となる物質)との接触を減らすことで、症状をやわらげたりすることが可能です。

アトピーに関連する遺伝子とその影響

アトピー性皮膚炎に関連する代表的な遺伝子として、フィラグリン遺伝子が知られています。

この遺伝子は、皮膚の一番外側にある「角層」で働くフィラグリンというタンパク質をつくる役割をもっています。フィラグリンは、角質細胞をしっかりと結びつけ、水分を保つために欠かせない成分です。この遺伝子に変化(変異)があると、皮膚のバリア機能が弱まり、肌のうるおいを保ちにくくなり、外からの刺激やアレルゲンの影響を受けやすくなることがあります。日本人のアトピー性皮膚炎の患者さんの20%以上に、このフィラグリン遺伝子の変異が認められたと報告されています(Nomura T et al., J Invest Dermatol. 2008)。

ただし、この変異があっても必ずアトピー性皮膚炎を発症するわけではありません。

遺伝的な傾向を理解したうえで、日常的に保湿を中心としたスキンケアを続けることが大切です。皮膚の乾燥を防ぎ、外部刺激を減らすことで、症状を軽く保つことが十分に可能です。焦らず、一緒に取り組んでいきましょう。

(出典)
Nomura T, Akiyama M, Sandilands A, et al. Specific filaggrin mutations cause ichthyosis vulgaris and are significantly associated with atopic dermatitis in Japan. J Invest Dermatol. 2008;128(6):1436-1441.

遺伝はしても発症するとは限らない

「自分がアトピーだから、子どもに申し訳ない」「家族への遺伝が心配…」といった不安を抱える方は少なくありません。でも、前述の通り、アトピー性皮膚炎は遺伝だけで決まるものではないのです。アトピヨでは同じ悩みを持つ仲間がたくさんいます。みんなで支え合いながら、前向きに過ごしていきませんか?

アトピヨのアプリでは、同じ悩みを持つ人の声やケアの工夫を共有できます。前向きに肌と向き合うヒントが見つかりますので、ぜひ参考にしてみてください。

アトピーは遺伝だけじゃない!生活環境や習慣も大きなカギ

ここまで遺伝との関係についてお話ししてきましたが、アトピー性皮膚炎の発症には、遺伝だけでなく環境や生活習慣など、さまざまな要素が関わっていると考えられています。たとえ遺伝的な体質があっても、日常の過ごし方を工夫することで発症のリスクを減らしたり、症状をやわらげたりすることができる可能性があるのです。

ここからは、同じ悩みを持つアトピヨユーザーの体験談と、みんなが日常生活で実践している具体的な対策を一緒に見ていきましょう。きっと参考になることがあるはずです。

アレルゲン対策

アレルゲン対策として、以下のような工夫をしてみてはいかがでしょうか?

✅こまめな掃除(3日に1回程度を目安に)

✅寝具の定期的な洗濯と天日干し

✅ペットとの接触方法の工夫

発症・悪化を防ぐためにできる生活習慣

日々の生活習慣も大切です。無理のない範囲で、以下のような点を心がけてみませんか?

✅十分な睡眠(7~8時間を目安に)

✅ストレス管理

✅バランスの良い食事

スキンケア

スキンケアは特に重要です。以下のポイントを参考にしてみてくださいね。

✅入浴や洗顔後すぐの保湿

✅季節や肌の状態に合わせて保湿剤を選ぶ

✅衣服や寝具は摩擦や汗による刺激を防ぐ

■アトピヨユーザーが実践している対策紹介

「和食や野菜を中心とした食事、ジョギング等の軽度な運動を取り入れて生活習慣、お部屋やお布団のお掃除や定期的な換気をすることで痒みを抑え、保湿剤とステロイドによる抗炎症を徹底することで、炎症や痒みは落ち着いています」いつきさん(20代男性・アトピー歴20年超)

「保湿とスキンケアをしただけでかなり変わったとは思う、、化粧水がちゃんと入る肌質に変わってきた証拠だなと感じてます」かつさん(20代男性・アトピー歴20年超)

「アトピーの人用の低刺激綿のマスクを購入しました」はむさん(20代女性・アトピー歴20年超)

「やはり不調の時は休むのが1番の回復に繋がるなぁと実感したところでした🤣 アトピーもきっとそうですよね。寝るって大事ですねー✨」まなまなさん(3歳児のご家族・アトピー歴2年)

これらの工夫は、遺伝的なリスクの有無にかかわらず、どなたにも効果的だと考えられています。特にご家族にアトピー体質の方がいる場合は、予防のためにも早めに取り入れてみてはいかがでしょうか。できることから始めていきましょう。

アトピヨのアプリでは、季節や生活習慣に合わせた予防の工夫を共有できます。自分に合った対策が見つかりますので、ぜひ参考にしてみてください。

アトピヨユーザーに聞いた!リアルな体験と工夫

アトピーと向き合う毎日は、症状のつらさだけでなく、生活の工夫や気持ちの切り替えも大切です。なかでも、「遺伝が心配」と感じたきっかけや、そのときの気持ちの変化には、多くの方が共感できる部分があるのではないでしょうか。家族や自分自身の体質と向き合いながら、前向きに過ごすためのヒントを一緒に見つけていきましょう。

子どもに症状が出たら、しっかり頼る~頼れる場所はたくさんある~

お子さんに症状が出た時、「私がしっかりしなきゃ」と一人で頑張りすぎていませんか?大丈夫です、頼れる場所はたくさんあります。

アトピヨアプリなら、症状の写真を記録して医師に見せたり、日々のケア内容をメモして効果を確認したりできます。投稿機能では、具体的な悩みを相談したり共有することができます。

アトピヨのアプリでは、症状記録から仲間との情報交換まで、気軽に行えます。みんなの体験談があなたの答えになるかもしれません。ぜひ参考にしてみてください。

アプリで情報や仲間とつながるメリット

アトピヨアプリでは、専門的な知識や最新情報を手軽に得られるだけでなく、同じ悩みを持つ仲間の声にも触れられ、不安や孤独感をやわらげ前向きに過ごすきっかけになります。さらに、日々の症状やケアを記録することで、肌の変化を把握しやすくなり、より効果的なケアへとつなげることができます。

■ユーザーの声

「ツライ時にこのアプリに出会い、皆さんにアドバイスや共感や励まし応援の言葉を頂いたから、あの時期を乗り越えられたと感じます。誰もが健康な肌で過ごせますように。綺麗になりますように」ヒヨコさん(20代女性・アトピー歴20年超)

「また出ました蕁麻疹。アトピヨのおかげで過去の記録がわかるのがありがたい。ちょうど1年前…!3月は何かあるのか?花粉、紫外線、生理前、やたらと疲れがあって、嫌な予感はしてた。」きなたろうさん(30代女性・アトピー歴30年超)

「薬服用、塗り始めて4日目の夜(塗り薬を塗る前) 肌を触った時の乾燥感なし、日中も掻かなくなりました。写真で見ると全然違いますね…」nullさん(20代女性・アトピー歴20年超)

まとめ

アトピー性皮膚炎と遺伝の関係について見てきましたが、遺伝的要素は「なりやすさ」を示すものであり、決して運命ではありません。

重要なポイントまとめ:

  • アトピー性皮膚炎の発症には、遺伝的要因と環境要因の両方が関わっている
  • 両親がアトピー体質でも、必ず子どもが発症するわけではない
  • 遺伝的リスクがあっても、適切な対策で発症を予防、症状を軽減できる可能性がある
  • 正しい知識とケアで、不安を前向きな行動に変えることができる

「遺伝だから仕方ない」と諦めるのではなく、「遺伝的要素があるからこそ、しっかり対策をしよう」という前向きな姿勢が大切です。

アトピヨアプリには、同じ悩みを持つ仲間がたくさんいます。

一人で抱え込まず、情報を共有し支え合うことで、不安は少しずつ和らいでいきます。

あなたの経験が誰かの希望になり、誰かの工夫があなたの助けになるかもしれません。

アトピヨのアプリでは、症状の経過を記録したり、自分と似た症状を検索したりすることで、次のケアに役立てることができます。ぜひ活用してみてください。

【この記事の監修者】

宮川明大
Akihiro MIYAGAWA(アキヒロ ミヤガワ)

皮膚科専門医。大学病院ではアトピー性皮膚炎の外来や入院診療を担当し、多くの患者さんのお悩みに向き合う。 現在は美容皮膚科タカミクリニックに勤務し、ニキビや毛穴、しみ・しわなど、肌のあらゆるお悩みに寄り添う。

監修者情報

赤穂晶子

赤穂晶子
Akiko AKO(アキコ アコウ)

薬剤師。大手ドラッグストアや調剤薬局で調剤業務・介護業務に従事。皮膚科・小児アレルギー科・精神科・内科等の様々な症例を経験。調剤経験を経て、アトピヨ合同会社参画後は、コンテンツ作成と運営をリード。

赤穂晶子

赤穂亮太郎
Ryotaro AKO(リョウタロウ アコウ)

プログラマー。工学修士。公認会計士。
アトピー、喘息、鼻炎という3つのアレルギー疾患の経験から、患者会でボランティア活動に従事。アトピーの方へのヒアリング、薬剤師である赤穂晶子の見解、プログラマーの指導・監修を受け、自ら本アプリを開発。