
アトピーの基礎知識
アトピー肌のスキンケア、これで大丈夫?かゆみ・乾燥を和らげる3つのステップ

アトピー性皮膚炎の多くの方が「アトピー肌の痒みと乾燥が改善しない」「治療後すぐぶり返す」と悩んでいます。それは間違ったスキンケアが原因かもしれません。スキンケアには正しい知識と継続が大切です。
今回は、アトピー肌のかゆみや乾燥を改善する3つのスキンケアステップを、アトピヨアプリのみんなの声と共に紹介します。今日からできるスキンケアでアトピー肌の悩みを解決しましょう!
目次
アトピー肌のかゆみ・乾燥、その原因と悪循環

アトピー性皮膚炎のかゆみや乾燥は本当に辛いものです。その症状には複雑なメカニズムが関わっています。

実際、アトピヨアプリに寄せられた投稿の中では、「痒み」や「乾燥」に関する悩みが多くみられます。
なかでも「痒み」は、アトピーの代表的な症状で、ユーザーの投稿に含まれる悩みワードの中で頻出しています。アトピー肌の症状改善に向けて、正しいケアと継続が重要です。
ユーザーの痒みに関するワード分析(2025年1月集計)

アトピーのかゆみと乾燥のメカニズム
アトピー性皮膚炎の肌は、バリア機能が低下しています。バリア機能は、本来ダニやホコリ、花粉、紫外線などの外部刺激や乾燥から肌を守る大切な役割を担っていますが、これが損なわれると刺激が肌内部に侵入しやすくなり、炎症やかゆみを引き起こします。
また、バリア機能の低下は皮膚からの水分蒸発を増加させ、乾燥をさらに悪化させます。そのため、正しいスキンケアでバリア機能を補い、肌のうるおいを保つことが重要です。
アトピーの「かゆみの悪循環」に陥る可能性も
アトピー性皮膚炎では、強いかゆみから掻いてしまうことで皮膚のバリア機能が壊れ、そこから炎症が悪化します。その結果、かゆみがさらに増し、また掻いてしまうという悪循環に陥ります。乾燥も進行し、症状をさらに悪化させます。
かゆみ、乾燥、炎症が互いに悪影響を与え合い、悪循環に陥ることがアトピー性皮膚炎の厄介な点です。この悪循環を断ち切るためには、適切なスキンケアと治療を続け、症状の悪化を防ぐことが重要です。
アトピー性皮膚炎は間違ったスキンケアに注意
アトピー性皮膚炎は、症状の改善と悪化を繰り返しやすいため、優しく丁寧なケアが必要です。「ゴシゴシ洗う」「熱すぎるお湯で洗う」「保湿剤を塗らない」などの行為は、バリア機能を低下させる原因となります。スキンケアをしないことも症状を悪化させます。
アトピー性皮膚炎のスキンケアで重要なのは、正しい知識を持ち、継続的に実践することです。アトピヨアプリのみんなが実践する、痒みと乾燥を和らげるための3つのステップを紹介します。
みんなが実践しているアトピーのスキンケア3ステップ

アトピヨアプリのみんながスキンケアで意識していることは、主に3つのポイントです。
①「清潔な皮膚を保つこと」
実際に、ユーザーからは次のような声が寄せられています:
- 汗かいたらまめにシャワーすることも大事
- お部屋やお布団のお掃除や定期的な換気をする
- パジャマや寝具全て綿にし清潔にしながら見守ります
②「保湿で皮膚のうるおいを保つこと」
保湿の重要性について、以下のようなコメントが見られます:
- お風呂上がりに保湿を続けた結果、肌の状態が改善してきた
- 保湿を続けながら、肌のキメを整えていこうと心がけている
- アベンヌの化粧水を10回ほどに分けて噴射。あとは、ビオメディで保湿する
③「規則正しい生活を心がけ、肌環境を整えること」
生活習慣に関しても、実際に以下のようなコメントが見られます:
- 寝る3時間前までに食事を済まし、それ以降なにも食べない。まだまだ書ききれないけど、これを継続することが大切
- 遅くても12時までには寝ている
- 食事と睡眠時間を見直したら1週間ぐらいでそれまでずっと悩んでいた赤みがなくなりました
ユーザーのスキンケアに関するワード分析(2025年1月集計)

これらの重要なポイントを踏まえた上で、アトピー肌のかゆみや乾燥を和らげるための3つのステップをご紹介します。
ステップ①:正しい洗浄で肌への負担を減らす
なぜ洗浄が大切なの?
アトピー性皮膚炎の方にとって、洗浄は肌を清潔に保ち、炎症を防ぐために重要なケアですが、洗いすぎは禁物です。ゴシゴシ洗ったり、熱すぎるお湯を使うと、バリア機能が低下し、乾燥や痒みを悪化させる原因になります。
どんな洗浄方法が良いの?
アトピー性皮膚炎の方にとって、洗浄は重要なケアですが、いくつかのポイントに気をつける必要があります。
まず、お湯の温度はぬるま湯(約38度)が目安です。熱すぎるお湯では皮脂が過剰に洗い流され、乾燥を引き起こす原因になります。また、低刺激性の洗浄剤を選ぶことが重要です。
アトピー肌にも安心して使える洗浄剤としては、例えば「キュレル」や「ミノン」の製品などが人気です。
ユーザーの人気の洗浄剤ブランドに関するワード分析(2025年1月集計)

これらは肌に優しく、乾燥や刺激を最小限に抑えることができます。
また、製品を選ぶ際は、ご自身の肌質に合ったものを選びましょう。アレルギーテスト済みであるか、無香料・無着色であるかなどを確認すると参考になります。具体的な製品については、医師や薬剤師に相談することをおすすめします。
洗浄剤選びのポイント
アトピヨアプリのユーザーデータによると、アトピー肌の方に人気の洗浄剤にはそれぞれに特徴があります。
例えば、
①「キュレル」:
敏感肌研究から生まれた洗浄料で、乾燥性敏感肌に不足しがちなセラミドを守りながら、汚れだけをやさしく落とすのに適しています。
ちゃむさん(20代女性・アトピー歴20年超)
「10年ほど使ってたシャンプーとコンディショナーをキュレルに変えてみた。生え際と耳の後ろの痒みが酷かったからちょっと痒みが減ってる気がする!」
②「コラージュフルフル」:
低刺激性で、フケやかゆみの原因となる真菌や細菌の繁殖を抑える成分を配合しているため、頭皮や肌トラブルが気になる敏感肌の方にも適しています。
かゆぴさん(20代女性・アトピー歴20年超)
「【シャンプー】コラージュフルフルネクスト 刺激が少ないから荒れてる時でも安心して使える」
③「ミヨシ」:
香料・着色料・防腐剤を使用せず、天然由来の純石けん成分のみで作られています。低刺激性で、敏感肌の方にも安心して使いやすい洗浄料です。
キンカン餅さん(40代女性・アトピー歴30年超)
「みよしの無添加シリーズのハンドソープにしたら、痒み治りました。ハンドソープで手が洗えるようになりました」
肌質や好みに合わせて、ご自身の肌に合うものを見つけると良いでしょう。かゆみや刺激を感じた場合は、使用を中止し医師に相談してください。
ステップ②:徹底保湿でバリア機能を強化
なぜ保湿が大切なの?
アトピー性皮膚炎の肌は、バリア機能が低下しているため乾燥しやすく、外部からの刺激にも敏感です。
そのため、保湿はとても重要なケアとなります。保湿には、皮膚の水分が逃げないように“ふた”をする役割や、水分を補給して肌のバリア機能を高める役割があり、外部刺激から肌を守る効果も期待できます。毎日のスキンケアでしっかり保湿を行い、健やかな肌を目指しましょう。
どんな保湿方法が良いの?
入浴後は肌が最も乾燥しやすい状態のため、速やか(目安として5〜10分以内)に保湿剤を塗るのが理想的です。
保湿剤には、クリーム・乳液・軟膏などさまざまな種類があり、アトピヨアプリのユーザーデータによるとワセリン、ヘパリン類似物質、キュレルといった保湿剤が人気のようです。
ワセリンは水分蒸発を防ぐことができ、ヘパリン類似物質は水分を角質に引き込んで保持し、キュレルは刺激が少なく、これらはアトピー肌にも安心して使えることから人気を集めているようです。
ぽんたろう@2歳からアトピーさん(20代女性・アトピー歴20年超)
「ステロイドは炎症がひどいときのみに使用 基本はワセリンで保湿」
まままさん(0歳児のご家族・アトピー歴1年未満)
「ヘパリンを塗ると肌の乾燥が全然違うので、保湿剤は絶対必要だと感じている」
takoyakiさん(20代男性・アトピー歴10年超)
「私が冬の乾燥する時期にお世話になっていた化粧品です。椿油とキュレルの頭皮用ローション。春先の乾燥にも注意してローションは使っていこうかな」
自分の肌質や使用感に合わせて、自分に合った保湿剤を選び、毎日のスキンケアに取り入れましょう。
保湿剤の塗り方
保湿剤は優しくゆっくり肌に馴染ませることが大切です。
特に乾燥しやすい部分は重ね塗りが効果的で、入浴後だけでなく外出の前後や乾燥が気になるタイミングで1日数回塗るのがおすすめです。
こまめな保湿を習慣化することで肌のバリア機能をサポートし外部刺激から守ることにつながるため、自分の肌の状態に合わせて適切なケアを続けましょう。
ステップ③:生活習慣の見直しで肌環境を整える
なぜ生活習慣の改善が必要なの?
アトピー性皮膚炎の悪化には生活習慣が大きく影響し、睡眠不足やストレスなどが肌のバリア機能を低下させ炎症を悪化させる原因になります。
規則正しい生活を心がけることで肌の状態を整えやすくなるため、自分に合ったケアと併せて生活習慣の見直しを意識することが大切です。
どんな生活習慣が良いの?
質の高い睡眠をとることは、肌のターンオーバーを整え、バリア機能を維持するために重要です。睡眠不足が続くと肌の回復力が低下し、炎症が悪化しやすくなります。
目安として7〜8時間の睡眠を確保し、規則正しい生活を心がけましょう。
また、バランスの取れた食事も健康な肌を保つ鍵となります。ビタミンやミネラル、タンパク質を意識的に摂取することで、肌のターンオーバーを整え、バリア機能を支えることができます。
さらに、ストレスは自律神経のバランスを乱し、肌の炎症を悪化させる要因となるため、適度な運動や趣味の時間を取り入れ、心身のリラックスを意識することが大切です。
アトピー性皮膚炎のケアのカギは、記録と分析にあり!

アトピー性皮膚炎のケアは根気が必要で、「なかなか効果が出ない…」「モチベーションが続かない…」と感じることもありますよね。
しかし、改善の大きなカギは継続と分析。自分の肌と向き合い、どのようなときに症状が悪化し、どんなケアが効果的なのかを知ることで、より良い状態を目指せます。そこでおすすめなのが、アトピヨアプリです。
このアプリでは、睡眠時間・食事内容・ストレス・肌の状態などを簡単に記録できます。
写真を撮るだけ、数値を入力するだけでOKなので、忙しい日々でも無理なく続けられます。
「これなら続けられそう!」と思いませんか?続けることで「自分の肌ってこんな風に変化するんだ!」と気づき、自分に合ったより効果的なケア方法を見つけることができます。
肌の状態を記録しながら、あなたに合った改善方法を見つけてみましょう。
まとめ
アトピー性皮膚炎の改善には、正しいスキンケアを継続することが大切です。
清潔を保つ・保湿を徹底する・生活習慣を整えるという3つのステップを意識し、かゆみや乾燥のない健やかな肌を目指しましょう。さらに、効果的なケアを続けるためには記録と分析の習慣化がポイントです。
アトピヨアプリを活用すれば、日々の肌の状態や生活習慣を簡単に記録でき、症状の変化を把握しながら、より自分に合ったケアを見つけられます。記録と分析を習慣化し、一緒にアトピーの悩みを解決していきましょう!
【この記事の監修者】 宮川明大 Akihiro MIYAGAWA(アキヒロ ミヤガワ) 皮膚科専門医。大学病院ではアトピー性皮膚炎の外来や入院診療を担当し、多くの患者さんのお悩みに向き合う。 現在は美容皮膚科タカミクリニックに勤務し、ニキビや毛穴、しみ・しわなど、肌のあらゆるお悩みに寄り添う。 |
監修者情報

赤穂晶子
Akiko AKO(アキコ アコウ)
薬剤師。大手ドラッグストアや調剤薬局で調剤業務・介護業務に従事。皮膚科・小児アレルギー科・精神科・内科等の様々な症例を経験。調剤経験を経て、アトピヨ合同会社参画後は、コンテンツ作成と運営をリード。

赤穂亮太郎
Ryotaro AKO(リョウタロウ アコウ)
プログラマー。工学修士。公認会計士。
アトピー、喘息、鼻炎という3つのアレルギー疾患の経験から、患者会でボランティア活動に従事。アトピーの方へのヒアリング、薬剤師である赤穂晶子の見解、プログラマーの指導・監修を受け、自ら本アプリを開発。